現在、新型コロナウイルスの流行でヨーグルトや納豆が注目を浴びスーパーでも品薄になっているそうです。これらの発酵食品は、腸内環境を整えてがん細胞やウイルスなどを駆除してくれる「免疫細胞」(7割が腸に存在)の働きを助けることから「免疫力を上げる食材」として知られています。
今回は、それらと同じく免疫力を上げ健康長寿に欠かせない必須微量ミネラル「亜鉛」について紹介していきたいと思います。
体の外側から亜鉛を摂るということ
「亜鉛」は、江戸時代からその皮膚への効能が知られ現在の医療現場でも「亜鉛華軟膏」として用いられています。
私共「イオンベール化粧品」は、この亜鉛の力に着目し亜鉛配合の化粧品を作っています。亜鉛は、細胞のDNAの複製やタンパク質の合成に関わり細胞のターンオーバー(新陳代謝)を促します。私共は、入浴剤や化粧水、シャンプーにこの「亜鉛」を配合し体の外側から供給することで若々しい肌や髪を維持する助けになると考えています。入浴剤の発売より10年以上経ちますが、(実際に毎日入浴剤を使用し)私共も長年の肌悩みが解消し、亜鉛の力を日々実感しています。
しかしながら、体の外側から亜鉛を摂った時に得られる効果は、あくまで肌質・髪質の向上など限定的なものとなります。
亜鉛にはターンオーバーの促進以外にもこんな働きがある
- 骨や内臓の機能維持に関わる酵素、活性酸素を除去する酵素、アルコールを分解し無害化する酵素をはじめとした、300種類以上の酵素の働きを助ける
- 体内で発生したがん細胞や、入り込んだウイルスを駆除する「免疫細胞」の働きを助け、体の免疫力を高める
- 記憶や学習をつかさどる「海馬」など脳のさまざまな部位に存在し、記憶力や学習力の向上および精神を安定させるうえで大きな役割を果たす
亜鉛が不足するとこんなことが起きる
肌荒れ 湿疹 口内炎 爪の割れ
傷が治りにくくなる
髪のコシがなくなり抜け毛が増える
食べ物の味が分らなくなる(舌の味蕾細胞の代謝が悪くなるため)
子供の発育が悪くなり、身長が伸びにくくなる
血管が弱くなり動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高くなる
骨粗しょう症になりやすくなる
感染症やがん、うつ病にかかりやすくなる
糖尿病や慢性肝疾患のリスクが高まる
このように亜鉛が不足すると、肌や髪とともに骨、血管、内臓機能の老化も進み健康な体を維持することができなくなるため、体の外側からだけでなく体の内側から積極的に摂る必要があるのです。
体の内側から亜鉛を摂るということ
亜鉛は体内で生成されないので毎日の食事から摂取しなくてはなりません。一日当たりの亜鉛の摂取推奨量は、成人男性で10mg、成人女性で8mgとされています。(厚生労働省発表 日本人の食事摂取基準 2015年版参照)
実際には、推奨量よりも男性で1mg、女性で0.5mgほど足りていないことが分っています。とくに食事の絶対量が減り、栄養の吸収率が下がる高齢の方は亜鉛不足に陥る可能性が高くなります。
では何を食べれば効率よく亜鉛を摂取できるのでしょうか。
以下に主な食品の亜鉛含有量を紹介します。
食品名 | 1食分の亜鉛含有量 |
牡蠣 | 5粒(60g)当たり7.9mg |
豚レバー | 70g当たり4.8mg |
牛赤身肉 | 70g当たり4.0mg |
牛もも肉 | 70g当たり2.8mg |
ほたて貝柱(生) | 3個(60g)当たり1.6mg |
うなぎ | 1/2尾(80g)当たり1.1mg |
飯(精白米) | 茶碗1杯(150g)当たり0.9mg |
卵 | 1個当たり0.8mg |
納豆 | 1パック(40g)当たり0.8mg |
アーモンド(フライ) | 10粒(15g)当たり0.7mg |
プロセスチーズ | 1切れ(20g)当たり0.6mg |
なんといっても手っ取り早く亜鉛が摂れるのは牡蠣ですが、牡蠣や豚レバーを毎日食べる人は少ないと思います。亜鉛は、肉・魚介・種実・穀類など多くの食品に含まれていますので、卵焼き、納豆、ご飯、みそ汁など定番の和食に加え、1日100g程度の肉類や魚介類を摂るように心がけましょう。また牡蠣は、生食用よりも燻製のほうが亜鉛の含有量が多いので、新鮮な牡蠣が手に入らない季節には燻製の缶詰をクラッカーにのせて5粒程度食べれば充分に必要量を補給できます。
亜鉛をしっかり摂って体も脳も外見も若々しく
人生100年時代といわれている今、誰にとっても「寝たきり」や「認知症」は他人事ではありません。また長い人生のなかで今回のような未知のウイルスに遭遇することも考えられます。このようなリスクを下げて健康寿命を延ばしいつまでも若々しくいるために、毎日意識的に亜鉛を摂ることをお勧めします。
この記事は薬剤師、園井伸輔氏が監修しています。